生命科学には少なくとも弘中勝と結城浩が必要だ

先ほどのエントリに書いた「新しい高校生物の教科書」には、項の最初にクイズがある。

真核生物の遺伝子の本体(実体)は何か。
(1) DNA (2)RNA (3)タンパク質

クイズといえば、化学同人の月刊「化学」でも、科学リテラシー研究会がクイズ記事を掲載している。

こたえてナンボ ぼくらの科学リテラシー
http://www.kagakudojin.co.jp/kagaku/literacy/index.html


しかし、どちらのクイズも、解答があまりに直接的(実用的?)すぎて、学習効果が低いような気がします。
ねえねえ知ってる?と明日の会話のおかずにするのも難しいし、クイズを解き終わったら忘れてしまいそうな気がしませんか?

クイジングというマーケティング手法を提案する弘中勝さんは、顧客と語らえ!クイジング入門で、効果的なクイズの作り方を述べています。

顧客と語らえ! クイジング入門

顧客と語らえ! クイジング入門

例えば、訴えたいものは直接クイズにせず、

「現在、世界で最も人口の多い国は中国です。では、2番目に人口の多い国はどこでしょう?」
「えっ、1番目の中国は分かるけど、2番目…? アメリカ合衆国?」
「はずれ。正解はインドでした!」
「へー、インドって世界で2番目に人口が多いのか!」

のように、1問目は知識欲を喚起する問題にして、2問目以降で本当に伝えたい内容を伝えられるよう、知識の流れを誘導すれば効果的なクイズになるとし、効果的な誘導のためにどうすれば良いか解説しています。

生命科学への知識欲を引き出す弘中勝が、まさに求められているのです。

*

クイズといえば、最近ブログ上ではこんなクイズがありました。

gcatagcacgcccccccgtattagaacgagtggtagtacgaagcgcgc
同業者向けに。

今年もよろしくお願いします♪

文字化けじゃないです。
暗号。

ヒビノデキゴト。- 2006年01月01日
http://blog.livedoor.jp/chunblog/archives/50274562.html

このクイズに対して、複数の(バイオインフォマティクス系)関係者のブログが反応しました。

新年問題 - h09ed
http://hoged.tdiary.net/20060102.html

EMBOSS初走り - 某のウェブログ
http://bonohu.jp/t/20060102.html#p03

某所の問題への解答・BioPerl編 - chalk-less::weblog::thecla
http://chalk-less.org/~thecla/d/?date=20060103#p01


生命科学関係者で無い方は、Translate tool - ExPASyに文字列をコピーし、アミノ酸の一文字表記で見てみると、暗号の意味が分かるでしょう。


このクイズのこれまでにない特色は、ひとひねり頭を使うところです。生命科学の知識を使ったパズルゲームとして、知識だけでは解けない面白さがあるのです。

そういう意味では、理研CDBのEmbry王に近い試みのようにも思えてきます。

Embry王 理研CDBゲームカード
http://www.cdb.riken.go.jp/jp/index.html?CDBdirect#05_development/0506_cardgame03.html


ブログ界には、このような頭を使って学問に親しむ活動を既に実践されている方がおられます。結城浩さんです。

結城さんは普段からブログでクイズを実施し、また、数学を題材にした小説や各種、入り口となるようなわかりやすい本を執筆され、人気を得ています。

音楽シャッフル・クイズ - 結城浩の日記
http://www.hyuki.com/d/200510.html#i20051020190000

テトラちゃんと相加相乗平均 - 結城浩の日記
http://www.hyuki.com/d/200511.html#i20051122144014


これからの生命科学には少なくとも弘中勝さんと結城浩さんのような人が必要だと思うのですが、みなさん、どう思われますか?






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  生命科学とブログの現状と今後
  「新しい高校生物の教科書」書評