描いて造って、魅せる分かる

博物館に行くと剥製や化石が並んでいる。実物の横に解説が書いてあるとなんだか説得力がある。だが、現代的な生命科学の成果は、博物館はおろか、高校の教科書でも新聞でも断片的にしか伝えられていない。生命科学者と普通の人との知識差はあまりに大きく、これまで生命科学の世界観のイメージが共有できていなかった。

ということで、生命科学のイメージを共有するための試みについて、「遺伝」2005.1月号で生命誌研究館の工藤さんが「物づくりを通して生命科学を考える」なる記事を書かれている。工藤さんは概念を形にすることで、生命科学を「実物で」伝えようと試行錯誤している人だ。
http://brh.co.jp/kaidan/

ところで、工藤さんがDNAの複製を教科書通り模型で再現してみたところ、何と一般的に認められているモデルでは動かず、ドイツの研究者が提案しているモデルだとすんなり動いた!科学者も単に記号化された実験結果だけを追っていてはいけないと言うことであろう。

科学を絵で伝える、サイエンティフィックイラストレーションはアメリカのサイエンス コミュニケーションではジャーナリズムと並んで大きな柱になっている。

→ 東大からその道に進んだ人もいる
http://133.11.37.221/users/hikaku/shingyojiken/kikutani.htm

日本でも今は単なる「ポンチ絵」で済ましがちだが、今後は普通の人とコミュニケーションできて、しかも科学者としての考えも整理できるような絵や造形をつくっていくことが必要なのだろう。

名大・理・化学科・生物化学・遠藤研
http://biochem.chem.nagoya-u.ac.jp/HP2002/new_result2.html
タンパク質複合体を3Dで分かりやすく示している。

名大・理・生命理学・楠見研
http://www.supra.bio.nagoya-u.ac.jp/
ここの研究紹介DVDはすごい。昨年、映像賞をとっている。

でも、そういうのって、どうやって鍛えていくのだろう…。