生命科学とブログの現状と今後

 生命科学の研究者と一般市民とを結ぶ科学コミュニケーション活動は、研究機関のプレスリリースや民間のコミュニケーションサイト、科学実験教室、ゲノムひろば、サイエンスカフェと広がりをみせている。

独立行政法人 理化学研究所
http://www.riken.jp/index_j.html

独立行政法人 科学技術振興機構(JST) プレスリリース
http://www.jst.go.jp/press.html

次世代バイオポータル試行版 Jabion
http://www.bioportal.jp/

理研JST、Nature、Scienceのプレスリリースは特に優れており、現在新聞が掲載する最新の科学ニュースのほとんどを占めている。Jabionは主にJST関連の最新の成果を分かりやすい日本語で解説している。


JT生命誌研究館 サイエンティスト・ライブラリー
http://www.brh.co.jp/s_library/j_site/index.html
言わずとしれたJT生命誌研究館による研究紹介サイト。

くらしとバイオプラザ21
http://www.life-bio.or.jp/

BioTechnology Japan
http://biotech.nikkeibp.co.jp/BIO.jsp
日経BP社のバイオ関連ニュースサイト。ここのメールマガジンであるBTJ/HEADLINE/NEWSは生命科学関係者に購読者が多い。

FOOD SCIENCE - BioTechonology Japan
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/index.jsp
食に関わる問題を冷静な視点で取り上げている。

加藤未央のみお線各駅停車・バイオ行き
http://biowonderland.com/BioWorld/MioSen/
東京農大在学中のタレント・加藤未央によるバイオの解説をふくむ日記。協和発酵のBioWorld内。


実験教室・バイオ教育のリバネス
http://www.leaveanest.com/


ゲノムひろば
http://www2.convention.co.jp/hirobag/index.html


サイエンスカフェ・ポータル
http://cafesci-portal.seesaa.net/


科学コミュニケーション・リンク集
http://scicom.jp/science-communication/index.html


関連エントリ
描いて造って、魅せる分かる - [ok]どう分けると良いか?
http://d.hatena.ne.jp/Membrane/20050218/p1

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 以前、インターネットにおけるアウトリーチ活動では「まずブログを書け」と言われた時期があった。


「研究者の方々へ、ウェブ日記のすすめ」(森山和道
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/041.html#RR


Wing (Writing Investigators Network Group)
http://bonohu.jp/w/?Wing


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 が、ブログを書く研究者(やその卵)が増えてきた昨今では、「研究者の日記は読み物としてつまらない」という声が聞かれる。

ネットを通じて研究室のアウトリーチ活動をするならばホームページでしょうし、研究室を巡る日々の活動ならば研究者(ボス、院生、学生)のブログですでにいくらでも公開されているということです。蛇足を申し上げると、森山さんや代表理事さんのおっしゃっているような「楽しい研究生活」そのものが今やあちこちで破綻しているという事実もありますので、それを公開することが本当に良い「アウトリーチ活動」になるのかどうかについても常に点検する必要があると思います。

ブログは研究活動のアウトリーチには向いていない
http://shinka3.exblog.jp/3093094/

”研究する喜び、悲しみ、その他研究者として生きる姿”を見たり、”知的興奮(している人の様子)をもっとブログで読みたいな”と思って見ることはできても、分野外の人が「なるほど」と思うようなことは、なかなか見つからない。アウトリーチ活動を意識するなら、読む人のことをよく考えて書かなくてはならない。頻繁にアップすることも必要である。毎日の生活の中で、そこまで時間をもつことは不可能なこともある。

ブログによる発信とは - cony diary
http://cony.exblog.jp/1923482

最終的に、理系の研究者(志望者含む)がブログに何を書くかというと、ただの日記に成らざるを得ない訳です。ネタを仕入れる時間がないし、なおかつ1日の大半を使って自分で仕入れたネタは全て公に出せないし出しても理解されないのです。必死に訳した論文をブログで発表しても、反応は薄いし同業者は無言でかっぱらって自分の論文にコピペするしで、ろくなことはありません。結果、知り合いや友人との交流のためだけにブログを利用することになるわけです。そこにあるのは楽屋オチのみ。mixiに研究者が多い理由もこのあたりにあるんじゃないでしょーか。

理系の研究者および研究者予備軍のブログは日記にならざるを得ない - ラブラブドキュンパックリコ
http://d.hatena.ne.jp/Maybe-na/20060103/1136308712

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 しかしながら、現状ではネットにおいて旬の情報を発信するにはブログが一番流通しており、生命科学においてもいくつかの有力なブログが生命科学的な独自の見解を発信しつつある。


Orbium -そらのたま-
http://sasapanda.net/
新聞が扱うような面白い話題をクリップし、ひと味解説を加えている。プレスリリースを疑う所がないのが少し残念。


柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida
http://mitsuhiro.exblog.jp/
今ではかなりの生命科学者が眺めていると思われる有名研究者のサイト。


5号館のつぶやき
http://shinka3.exblog.jp/
北大科コミ講座でより有名に。一般の話題も冷静な切り口で解説している。


幻影随想
http://blackshadow.seesaa.net/
ファン教授の疑惑などで一躍有名に。

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 今後は、これらのブログのように固定客が獲得できるブログに加えて、固定したブログを読まなくても人気の記事を抽出するソーシャルブックマークを活用して、ブログによるコミュニケーションが進んでいくと考えられる。


最近の人気エントリー - はてなブックマーク
http://b.hatena.ne.jp/hotentry


科学者リング
http://scientist.ring.hatena.ne.jp/


サイエンス -Blog People
http://tbp.jp/tbp_970.html





今日のその他の日記
  「新しい高校生物の教科書」書評
  生命科学には少なくとも弘中勝と結城浩が必要だ(クイジング入門)