高円寺〜吉祥寺と新星堂、本屋

新星堂の今期、経常赤字に転落へ・赤字は5期ぶり
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20051009AT2E0700L07102005.html

という記事を見かけてキュンとなる。

僕が初めてCDというものを自分で買ったのは小学校の随分後で、確かテニススクールがあった高田馬場のCD屋だった。そこでスクールに行くごとにCDやら本やらの買い癖を身につけた。でも高田馬場のスクールが潰れ、高円寺から吉祥寺にテリトリーが戻っていった。
僕の小学校後半から高校時代は、光ゲンジやサンプラザ中野の時代を経て小室哲哉つんくなど、音楽CDが売れに売れた時代。中学時代から始まったCDTVなぞをチェックして、毎月、毎週のようにCDを買うのが習慣化していた。この前の引っ越しでは山のようにシングルCDが出てきて自分でびっくりした。そんな僕の消費を一手に引き受けていたのが新星堂である。

新星堂は高円寺南口駅前、トリアノン(ケーキ屋)裏が発祥の地。何十年か前に高円寺店は南口から北口に移転し、南口のスペースは今では別の中古CD屋になっている。本社はずっと前から荻窪、青梅街道と環八の交差点前にある大きなビルである。高円寺、阿佐ヶ谷、西荻窪の杉並3駅(快速が土休日に停車しない)、荻窪、吉祥寺、さらには新宿と僕が慣れ親しんだ駅にはほとんど出店しており、CD屋といえば新星堂だった。ちょうど吉祥寺店と阿佐ヶ谷店は駅構内の通学路にあり、毎日のように新譜をチェックする憩いの場所だった。

僕が大学に入り合唱などをやりJ-POPから縁遠くなったせいか、ほとんど新星堂には通わなくなった。日本全体でCDが売れなくなったと叫ばれ出していたが、駒場に行くのに偶に通る吉祥寺でロンロン(駅高架下の商店街)改装時に新星堂が増殖したのを見て「頑張っているなぁー」と温かい目で見ていた。本郷に進学し吉祥寺も縁遠くなって、CDを買わない日々が続いた。買おうと思っても、10時から20時とかの営業時間では全く買えなかった。コンビニで買うのはもっとシャクで、CDの世界から離れた。修士駒場に戻ってきても新宿-渋谷周りだったりして、深夜に高円寺新星堂の閉じたシャッターを眺めていた。

それが、一年くらい前だろうか。
気づくと、シャッターが隣の八百屋さんのロゴに変わっていた。
新星堂はついに発祥の地を捨てた。

最後に入ったとき、既に品揃えは悪く、どれが新譜かも分からない状態だったな。ああそうか、やっぱり・・・。


・・・そして、今もう一つ気になっていることがある。

先週、母校の学園祭を見物に行った帰り、まだ飲み会には早かったので、買い忘れていた生物系の本を探そうと吉祥寺の街をさまよった。吉祥寺の街には、昔から弘栄堂書店、るーえ、パルコブックセンター、紀伊國屋書店などがあり、漫画や参考書探しで不便を感じたことはほとんど無かった。さらに最近は、駅の地下に京王系列の啓文堂書店ができ、充実したはずだった。そして、過去5年間くらいで新宿、池袋、渋谷のジュンク堂BOOK1st、リブロ、三省堂書店紀伊國屋書店などはこぞって生物・生命系書籍を充実させ、意外と小さな店でも本棚4つ位はあるのが普通だと思っていたが…。
探せど探せど、生物系の本はない。化学などはあっても、そもそもほとんど生命系の本棚がない。ほとんど全部の書店を回って、啓文堂に2棚くらい生物・生命系の一般書が置いてあった。当然の事ながら、探していた本はない。まるで浦島太郎になったような気分。あぁ、そういえば高校までは僕が生物学を志すとは想像だにしなかったな。。。

近くには「生命系」のような名前が付いた学科ができたばかりだというのに。やはり、分子生物学なき「バイオ・ライフサイエンス分野」に生物の本は不必要なのかもしれない。

成蹊大学理工学部物質生命理工学科
http://www.seikei.ac.jp/university/enter/st/science/bio.html
http://www.seikei.ac.jp/university/enter/st/science/biolabo.html


思えばこんな記事もあった。

駅の書店設置計画、差し止め求め仮処分申請 東京・杉並
http://book.asahi.com/news/TKY200509290188.html


東京だからといって安心してはいけない。
この街では、周回遅れでどうしようもなくなるまで誰も教えてくれない。