ヒマラヤの花畑

ヒマラヤの高山帯を行くと、とにかく広大で美しい花畑があるらしい。
なぜか?


ここで、大自然の力、と答えるのは勝手だ。でも、それは"野蛮な"考え方かもしれない。

1.毒や苦みのある植物はしばしば美しい花を咲かせる。
2.草食動物は(美しい花を目印にして?)毒になる植物は食べない。また、人間と違って、苦みの強いものも食べない。苦みは概して、貴重なタンパク質の体内への吸収を妨げるような物質から感じる味覚であり、人間は苦みのある植物を食べることができる珍しい動物である。
3.ヒマラヤの高山帯では、人間が乏しい食環境で生き抜くために草食動物の放牧が行われている。
4.放牧は時に過放牧になり、草食動物が食べることのできる植物は食べ尽くされる。
5.残った美しい花を咲かせる植物は、草食動物によって空けられた地面にも進出し、勢力を伸ばす。そして、広大で目にも鮮やかな花畑が生まれる。


地球に人間の刻まれていない"自然"は、ない。スギ花粉の山々も、外来植物イネが茂った水田も、高層ビルに植えられた植え込みも、そして高層ビルさえも、"自然"として愛おしく感じ、手を加え、一緒に変わっていかなければいけない。それが人間の人間たる生き方であるのだろう。富士山麓に広がる東京人のための広大な墓地に行って、また、そう思った。